そのそろばん塾は、お子様に合うそろばん塾ですか?

そろばん塾はどこも同じではない

 学習塾に集団指導塾や個別指導塾、進学塾や補習塾の違いがあるように、実はそろばん塾にも違いがあります。

 昨今、そろばん塾の数も減り、近所を探しても、そもそもそろばん塾がなかったり、あっても一つだけで選択肢が無いケースも多いでしょう。しかし、もし、送迎も含めて通える範囲に複数のそろばん塾があるのなら、その違いを知って選ぶ方がミスマッチを防げます。せっかく塾代を支払って通うのであれば、お子様および保護者の皆様の要望や考えに合うところを選びたいですよね。

 しかし、そろばん塾の違いと言っても、一般の方にはわかりにくいと思います。どんな違いがあるのでしょうか。ここでは代表的な違いをいくつか例を挙げて説明しておきましょう。

そろばん塾の違い

珠算式暗算指導に力を入れているかどうか?

 現代の教育事情で、そろばんを習う最も大きなメリットの一つは珠算式暗算(そろばん式暗算)を習得できる、という点が挙げられます。しかし、そろばんを習っていたけど暗算はできるようにならなかったというケースは実はとても多いんです。珠算式暗算力というのは、そろばんの練習だけでは絶対に身につきません。そろばん式暗算ができるようになる為には、そろばん式暗算の指導をきちんと受け、きちんと効果のある練習をする必要があります。

 これを見極める為には、「暗算の練習はしますか?」という質問をするだけでは不十分です。なぜなら、3桁などの加減算を1桁ずつに分割して練習する塾もあるからです。それだと珠算式暗算は身につかず、筆算でやるのと変わりません。筆算とそろばん方式の暗算の違いは、こちらの記事が参考になるかと思います。

 そのそろばん塾で、暗算指導に力を入れているかを確かめる為には、こう聞いてみましょう。

 「読上暗算(よみあげあんざん)の練習はしますか?」

 読上暗算の練習をしっかりやっている珠算塾はそろばん式暗算指導に力を入れています。

検定試験を重視するかどうか?

 検定試験については注意が必要です。というのも、検定試験というのは実施団体によって難易度が全然違うからです。なので、同じ「X級にXX名が合格」という表記があっても、同じ土俵で比べることはできません。
 また、実社会でそろばんを使って計算をする機会がほぼ皆無の現代では、そろばんを使った計算技能を測る珠算検定試験の意義は問われます。とにかく検定合格を目指すのか、あるいは、目先の検定試験合格に囚われるのではなく、子供たちの学力向上全般を考慮してカリキュラムを組み立てるのか。この辺りはそろばん塾のポリシーですので、確認しておいて損はないでしょう。

競技大会を目指すかどうか?

 珠算にも競技大会というものがあります。こうした競技大会を目指しているのか否かも、そろばん塾のポリシーの一つでしょう。珠算競技大会というのは一般の方にはわかりにくいと思いますが、スイミングに置き換えてみるとわかりやすいかもしれません。競泳大会を目指し、ゆくゆくはインターハイや国体などでの入賞を目指してスイミングスクールに通うのか、そうではなく、健康目的で一通りの泳法が身につけば良いと考えるかで、選ぶスイミングスクールは変わってくるかもしれません。
 競技大会の成績をアピールしているそろばん塾は、珠算技能を極めることに重きをおいているでしょうし、そうでないところは、別の特色があるそろばん塾ということが言えるかと思います。

先生、指導者が複数いるかどうか?

 指導者(先生)が複数いるかどうかは、一応、気にしておいた方が良いでしょう。そろばん塾では、まだまだ高齢で頑張っている先生方もいらっしゃいます。高齢の先生はキャリアもあって、指導力という点では一日の長もあります。ただ、お一人で運営されている場合、健康上の理由で突然、教室が閉鎖されるということが最近増えています。そうなった場合、そろばんを続けたいと思ったら別のところで習うことになるかもしれません。しかし、そろばん塾によって教え方、カリキュラム、ポリシーが違う為、習っている塾を途中で変えると、少なくとも最初のうちは、色々と戸惑うことが多くなってしまいます。

 また、指導者が高齢かどうかという点以外でも複数の先生がいるメリットはあります。それは、複数の先生、複数の目で生徒への指導をしていると、子供達に学習上の気付きを与える機会が増えるということもあります。子供達にとっても、色々な先生から指導を受ける中で、自分に合う先生が見つかるチャンスが増えます。人間なので、もしかしたら(人間的に)合う・合わないということもあるかもしれません。そんな時、先生が一人の場合は合わなかったら、辞めるという選択肢しかないかもしれませんが、複数の先生が入れば、その先生に聞く、その先生のクラス、教室に移るということもできるでしょう。

ホームページなどで教育ポリシーを確認しましょう

 上記に挙げた以外にも、細かい点を挙げればキリがありませんが、お子様にそろばんを習わせようと思ったら、ホームページなどで、その塾のポリシーをしっかりと確認されることをお勧めします。そろばん式暗算、検定試験、競技大会などに関して、そろばん塾のポリシーと、保護者やお子様の考えが一致しているかどうかはとても大切なことです。
 きちんとしたそろばん塾であれば、教育方針をホームページに明記しています。

 せっかく、そろばんを習ったのに、「思っていたそろばん塾と違う」というミスマッチを防ぐためのポイントを解説しました。参考になれば、幸いです。