算数(そろばん)の掛け算でつまづく原因

掛け算が出てくるあたりから算数に対する苦手意識が出てくる子供が少なからずいます。
今回は、この点についてお話しましょう。

掛け算で必要な要素を分解してみましょう。
掛け算の計算に必要なのは、

1.九九の知識
2.掛け算の計算の仕組みの理解
3.足し算

の3つです。

まずは九九の知識。これは言うまでもありませんね。九九の知識がないと掛け算の計算はできません。
そして、次に掛け算の計算の仕組みの理解です。筆算では与えられた計算式の数の九九をずらしながら書いていきます。そろばんでは紙に書くのではなく、ずらしながらそろばんに九九の答えを置いていきます。どこに書くのか(どこに置くのか)の仕組みを間違えると正答は出ません。
そして、そのずらして書いたり置いたりした数を足していくことで答えを出します。

少し乱暴な言い方になりますが、本質的なところでは掛け算というのは足し算の応用なのです。ですから、掛け算に入る前に徹底的に足し算の訓練をしておくことは必要です。ところがこうした本質を忘れてしまうことがあります。

典型的なのは次のようなものです。

「うちの子はもう九九は完璧に言えますので、早く掛け算を教えてやって下さい」

もちろん、足し算も完全にできていて九九を覚えていれば、その子には掛け算を教えるでしょう。しかし、九九を覚えるのに気をとられるあまり、足し算の練習が疎かになっている子が少なからずいます。そういうお子さんは掛け算が出てきたあたりから算数(計算)に苦手意識を持ってしまうことが多いのです。

「掛け算が苦手」

一旦こう思ってしまうとなかなか苦手意識を払拭することはできません。

「とにかく、よその子より少しでも先へ先へ」

こうした間違った意識は子供の苦手意識を産んでしまう大きなリスクがあるということを認識しておく必要があるでしょう。

掛け算が苦手な場合は、九九が覚えられていないからなのか、仕組みの理解があやふやなのか、足し算で間違っているのか。どこに原因があるかを見極めて適切なところまで戻って学習しなければいけません。

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