グローバル人材になるには

 日本は少子高齢化の加速が著しく、今の子供たちが大人になる頃には、グローバルな人材であることは、今以上に求められる要素になると思われます。

 グローバル人材というと、すぐに「英会話」と結びつける方が多いですが、語学力というのは一つの要素に過ぎません。川西珠算学院は、海外でそろばんを教え、普及させる取組みを行っています。もちろん現地に行っての活動もあります。

 その中で痛感することは、ビジネスや教育の場では、語学力以上に大切なことが多く、そうしたことを知り、学ぶこと無くしてグローバル人材にはなり得ない、ということです。

 ロシアとウクライナの戦争や、イスラエルとパレスチナ、特にガザ地区との紛争が、今、ニュースで流れない日はありません。戦争や紛争は対岸の火事のように思うかもしれませんが、他国で仕事をしたり、グローバル人材になるには、これらのことから学ぶことはたくさんあります。

 どの国、地域に住んでいるかや、人種、信仰している宗教、価値観の違いを的確にとらえ、考えの相違を見い出し、自分の小さな世界を知り、そこから脱却していく必要があります。視野を広げるのです。グローバル人材になるということはそういうことです。

 異国の人と良い関係を築き、良い仕事をするためには、確固たる正解の無い問題に、手持ちの知識を当てはめてわかった気にならないことが大切です。私が知る限り、グローバルに活躍できている人は、自分だけの正義を振りかざすのではなく、異論と折り合い、より広範囲な同意を得る為に必要なコミュニケーションができています。

 では、具体的に、どのようにこれらのことを身につけて行けば良いのでしょうか。

 一番のお勧めは留学です。ただ、これは小学生にとっては現実的ではありません。現実的ではありませんが、高校もしくは大学くらいで経験すれば実体験を通じて、語学力とともに習得できるということは、頭の片隅に置いておくと良いと思います。大学生であれば、JICAの青年海外協力隊という選択肢もあります。

 私は川西珠算学院の運営会社である、株式会社WakuWaku&Lifeの仕事としてODA(政府開発援助)関連の仕事もしてきましたが、JICAでの経験をしてきた人というのは本当に優秀です。そして、それがどこからきているかというと、やはり活動を通じて涵養されてきた、グローバルで活躍するのに必要な素養を持っているからです。上部のものではなく、時間をかけ、経験を通じて育んだものだからこそ、簡単には揺るがない芯のある言動が可能になるのです。それが、異国、異文化、異言語、異人種と仕事をしたり良い関係性を築く礎になります。

 小学生のうちで、できる活動としてお勧めできるのは海外から来た留学生と交流することです。川西珠算学院のある豊中市には「とよなか国際交流協会」という団体があって、こうした場で、海外からの留学生と交流ができます。この活動の中には、ホストファミリーという制度があって、これは寄宿無しで(留学生は寮など住むところは別にあって)、海外からの留学生を担当するということもできます。

 こうした交流を通じて、海外に興味を持ち、子供たち自らが外国語の学習を進んでやる(進んでやりたくなる)ようになることこそが、グローバル人材になる近道に違いありません。