脳の活性化を促すために

人工的に文字の未学習の状況を作る

話す書く
聞く読む

これはコミュニケーションの4領域のチャート(図)です。
幼児教育や初等教育の理論学習でも使われる図です。
左右に分けると、

  • 左側が幼児教育領域、右側が初等教育領域
  • 左側は文字を使わないアクティビティ、右側は文字を使うアクティビティ

という2つの考え方ができます。

子供たちは小学校に入学すると国語でひらがなやカタカナなどの文字をまず学びます。
算数では数を表す文字、すなわち数字を学びます。

日本では幼児教育が盛んですので、幼児でもある程度の文字(数字)の読み書きはできますが、まだきちんと定着していません。
ですから、幼児は右側の領域である文字や数字が書かれたものでの学習は難易度が高いのです。

一方、大人はどうでしょうか?
特別な事情のある場合を除いては、あるいは一部の難読漢字を除いては、文字の読み書きは普通にできるので、文字を使うアクティビティは難しくはないでしょう。

むしろ、本を読んだり、手紙を書いたりするのは自分のペースでできるので容易だという人も多いはずです。
当社は「人工的に文字の未学習の状況を作る」トレーニングを行い、大人の脳の活性化を図っています。

アウトプット学習の重要性

話す書く
聞く読む

今度はこの図を上下で分けて見て下さい。
下側は入力(インプット)アクティビティ、上側は出力(アウトプット)アクティビティとなっています。

「聞く」と「読む」は文字を使うか使わないの違いはあっても情報を脳に入力(インプット)するという意味では同じです。
また、「書く」と「話す」も同様に文字の使用の有無での違いはありますが、情報を出力するという意味では同じです。

実は脳のパフォーマンスは出力(アウトプット)で決まると言われています。

家でテレビを見ている時間が長い高齢者がいらっしゃるとします。
テレビは映像を「見る」、出演者の話し声を「聞く」行為なので、入力(インプット)ばかりです。

もしその方が家族ともあまり話したりしない、もしくは一人暮らしだったりすると、ほとんど出力(アウトプット)はありませんから、認知症予防という意味では、その出力(アウトプット)の少ない生活は極力避けなければなりません。

家でテレビを見ている時間が長い高齢者

カービック博士の実験

大学での実験の様子(イメージ)
写真はイメージです

世界でも権威のあるアメリカの学術雑誌、Science(サイエンス)。
この雑誌で2008年に発表された、米パデュー大学のカーピック博士の論文を紹介しましょう。

ワシントン大学という名門大学の学生を多数集めてスワヒリ語40個を暗記する課題を与えました。
単語とその意味を1セットあたり5秒ずつ見せて覚えてもらうという手順で学習は行います。

未知の言語ゆえ、40個を一回で覚えるということは、さすがの名門大学の学生でもほとんど不可能に近いと言えます。

そこで学習方法を変えた4つの被験者グループ(A~D)に分けて実験を行いました。

A一通り40個の単語を学習したら40個全てについてテストを行う

一度では覚えられないので、二回目も40個の学習をして40個のテストを行う

40個全て間違いなく答えられるようになるまで繰り返す
B一通り40個の単語を学習したら40個全てについてテストを行う

二回目は一回目に答えられなかった(間違った)単語のみを学習し、テストは40個全て出題

三回目は二回目にできなかった単語のみを学習し、テストは40個全てのテストを行う

できない問題がなくなるまで繰り返す
C一通り40個の単語を学習したら40個全てについてテストを行う

二回目は学習は40個全ての単語に対して行うが、テストはできなかった(あるいは間違えた)単語のみ出題

三回目も40個全ての単語を再学習するが、テストは二回目に間違えた単語のみ出題

できない問題がなくなるまで繰り返す
D一通り40個の単語を学習したら40個全てについてテストを行う

二回目は一回目にできなかった単語のみを学習し、テストはできなかった(あるいは間違えた)単語のみ出題

三回目も二回目のテストでできなかった単語のみを学習し、できなかった単語のみ出題

できない問題がなくなるまで繰り返す

Aは生真面目に学習するグループで、Dは要領良く学習しようとしたグループと言えますね。

BとCは取り組み方が似ているので混乱しそうですが、さらに簡単に表でまとめると以下のようになります。

学習(暗記)テスト
A全部全部
B間違ったものだけ全部
C全部間違ったものだけ
D間違ったものだけ間違ったものだけ

実は、40個の単語を全て覚えるスピードに関してはA~Dのどのグループも大差はありませんでした。

しかし、カーピック博士は一週間後に、それぞれのグループの学生に同じ単語のテストを行ったのです。その結果(成績)で実に面白い結果が出ました。

たくさんアウトプットした方がパフォーマンスがよい

学習(暗記)テスト結果(正答率)
A全部全部約80%
B間違ったものだけ全部約80%
C全部間違ったものだけ約35%
D間違ったものだけ間違ったものだけ約35%

一週間後のテストの成績は、一番まじめに取り組んだと言えるAのグループの成績の平均点は約80点。
要領よく学習しようとしたDのグループの平均は約35点でした。

ここまでは容易に想像できる結果と言えるのではないでしょうか。
やはり真面目にやる方が成績がよくなるよね、という結果です。

ここでのポイントはBとCのグループの成績です。
BのグループとCのグループは似たような取り組みをしていますが、劇的な差がつきました。

実はBのグループの成績の平均点は約80点、つまりAのグループと同じ成績。
Cのグループの成績の平均点は約35点、こちらはDのグループと同じ成績ということになります。

学習(暗記)、テスト、結果(成績)を見比べてみて、一致するところを見てみましょう。
そうするとテストと結果(成績)が一致していますね。
これは何を意味するのでしょうか?

学習(暗記)は脳へのインプットです。テストは脳からのアウトプットです。
その観点で見ると、少なくとも記憶の定着という意味ではインプットではなくアウトプットが、そのパフォーマンスを決めるということがわかります。

テストを受ける高齢者

アウトプットの効果を最大限に高めた
そろばん式脳トレーニング®

これは、記憶の定着という意味での脳のパフォーマンスがわかる実験でしたが、認知症予防のための脳の活性化という意味でも実は同じようなことが言えるということが当社の実験でわかりました。

光脳イメージング装置という装置を使って脳の血流量を見たら、基本的にはアウトプットを伴ったアクティビティの方が効果があったのです。

ただし、漠然とアウトプットをしただけでは不十分だったということもわかり、アウトプットの方法を変えた実験もあわせて行いました。

この結果、どうアウトプットすれば効果が最大限に高まるかということもわかりました。
アウトプットの仕方によっても脳の活動量に劇的な違いが出てくるのです。

こうして誕生したのが「そろばん式脳トレーニング®」です。

光脳イメージング装置での実験の様子
光脳イメージング装置での実験の様子

これは当社が2006年に発表したメソッドで、書籍にもなりました。

書籍では、認知症予防という目的を達成するための脳の活性化には何をやれば良いかという点について、その一部を紹介しています。

ただし、本当に認知症予防を目的とするならば、何をやるか以上に、どうやるかということが非常に大切になってきます。
当社では、2006年に「そろばん式脳トレーニング®」を発表して以降も、このノウハウの研究・開発・改善を常に続けています。

最新の「そろばん式脳トレーニング®」は、当社直営校や認定インストラクターのいる公認ライセンス校でご受講いただけます。

「そろばん式脳トレーニング®」を受講したい、話を聞きたい、施設等で導入したい、ライセンス契約を結びたいという方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

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