むかしむかし、ある村にちっちゃい女の子がいました。その娘は赤いずきんが好きで、いつもそれを被ってたら、みんなから「赤ずきん」って呼ばれるようになりました。
ある日、赤ずきんが家で遊んでたら、いい匂いがしてきて台所に行ったらオカンがパンを焼いてました。
「おかん、パン焼くんメッチャうまいやん」
「私を誰やと思てんねん。オカンやで」
「やるな、オカン」
「ちょっとな、おばあちゃんが具合が悪い言うとったから、このパンとワインをおばあちゃんトコ持ってって欲しいねんけど」
「うん、ええで」
「一人で行ける?」
「うん、行ける行ける。で、おばあちゃん家ってどこやったっけ?」
「知らんのんかい!」
「道聞いたら行けるやん。道教えてや」
「家の前の道をガーって行って、ドン突きを左にガッて曲がったら煙突のある家があるからソコや」
「わかった」
「寄り道したらアカンで」
「わかった」
「たまに変なオッサンが出るから相手にしたらあかんで」
「わかった」
こうして、赤ずきんはおばあさんの家に向かいました。森の中の道を歩いてたらオッサンには出会いませんでしたが、オオカミと出会いました。
「自分、ドコ行くん?」
「おばあちゃん家に行くねん。具合悪い言うてるから見舞いや」
「ふーん。ほんで、それ、何持ってるん?」
「パンとワイン」
「おばあちゃん家ってドコなん?」
「この道、ガーって行って、ドン突きガって曲がったとこや」
「ほな、そないに遠ないな」
「うん」
「ワインもええけど、この道をちょっと川の方に降りたら綺麗な花が咲いてるから、それを摘んで持って行ったったら、おばあちゃんも喜ぶんちゃう?」
「そうなん?でも、オカンに寄り道すなって言われてるからな~」
「花摘むくらいええやろ」
「せやな」
こうして、赤ずきんは花を摘みに川辺に寄りました。その隙にオオカミはおばあさんの家に先回りします。オオカミがおばあさんの家に行ってドアをノックします。
「コンコン」
「誰?」
「赤ずきんやで」
「赤ずきんか。入ってええよ」
こうして、おばあさんの家にまんまと入り込んだオオカミ。赤ずきんではなく、オオカミだということに気づいたおばあさん。
「あんた、誰や?」
「ちゃうねん」
「何がちゃうねん。大体、大阪人って会話を「ちゃうねん」から始める奴多いけど、何がちゃうのかちゃんと説明せんかい」
「うるさいねん」
こうして、会話のスタートが「ちゃうねん」だったことの説明をすることもなく、おばあさんを丸のみしてしまったオオカミ。この後来る赤ずきんも食べようと、おばあさんのフリをしてベッドに入り込みました。
そこへ、花も摘んでたくさんの荷物を抱えた赤ずきんがやってきます。
「コンコン」
「誰?」
「赤ずきんやで」
「赤ずきんか。入ってええよ」
「おばあちゃん、体調どない?」
「どないもこないもあるかいな。しんどいから寝とんねん」
「そうか。あ、パンとワイン持ってきたで」
と、途中までは特に異変もなく会話が進みます。
「あれ?おばあちゃん、そんな耳デカかったっけ?」
「え?それはお前の声を聞く為やんか。知らんけど」
「あれ?おばあちゃん、そんなに目もデカかったっけ?」
「それはお前のかわいい姿を見る為やんか。知らんけど」
「ってか、口もデカない?」
「それはお前を食べるためやんけ~~~!!!」
こうして、おばあさんだけでなく赤ずきんまで食べてしまったオオカミ。腹いっぱいになったのか、グーグーと鼾をかいて寝てしまいました。
そこに、変なオッサン扱いされていた猟師が偶然、通りかかります。
「なんや、この音?」
家に近づいてみたら、お腹が大きくなったオオカミが大きな鼾をかいて寝ています。さらに耳をすましてみると、
「助けて~」
という声が聞こえてきました。
「どっからや?」
「ここやここ。オオカミのお腹の中や」
「なんでそんなトコおるん?かくれんぼ?」
「なんでやねん。食われてもーたんや」
「なんで食われて生きてんねん」
「オオカミがよく噛んで食べんかったからや」
猟師がハサミでオオカミのお腹を切ると、おばあさんと赤ずきんが出てきました。
「なんでハサミで腹切られて寝てられんねん」
という素朴な疑問は置いといて、無事、おばあさんと赤ずきんは救出されました。
赤ずきんは「コイツだけは許さん」、と怒りに我を忘れ、外からたくさんの石を持ってきて、オオカミの腹の中に詰め込み、オオカミの腹を縫い合わせました。
その後、目を覚ましたオオカミはお腹が重くてうまく動けません。しかし、喉が渇いていたオオカミは川へ水を飲みに行きます。が、そこで息絶え、死んでしまいました。
その後、通報を受けた警察官が現場検証に駆け付け、検死の結果、オオカミの死因は溺死と断定されました。お腹の中の石が重かったのでしょう。赤ずきんの家にはパトカーが横付けされ、
「赤ずきんを殺人の疑いで逮捕する」
「オオカミやねんから殺人ちゃうやん」
「じゃ、殺狼かな。そんな罪あるんか知らんけど。ってかキミ。オオカミと言えば絶滅危惧種やで。少なくとも動物愛護法違反にはなるやろ」
こうして、赤ずきんちゃんはムショで服役することになりましたとさ。
追伸:今回の教訓
物を食べる時は「よく噛んで食べなさい」という親の言いつけを守らないと溺死に繋がります。

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