教育虐待

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教育虐待は自覚がない場合がほとんど


 昨今、見聞きすることが増えてきた教育虐待。

 「教育虐待」という言葉が使われ始めたのは2011年、日本子ども虐待防止学会で報告されたのがきっかけと言われ、「子どもの受忍限度を超えて勉強させること」と定義されています。


子どもの人生は親の責任?


 そして、教育虐待をしている親に共通しているのが、

「子どもの人生は親の責任」

 という考えを強く持っているということです。こうした考えのもと、

子どもに過剰なまでの勉強を強いる。
成績が上がらなければ子どもに暴力を振るったり暴言を浴びせる。
異常なまでに学歴に固執し、受験では子どもの気持ちや客観的な判断を無視し、高望み過ぎる目標(志望校)を設定する。
そして、こうした行動は全て子供の為、と信じて疑わない。

 などの特徴があります。最近そろばんやプログラミング、英会話なども含め学習系のアクティビティ全般においても、子どもの遊ぶ時間などまで削り、受忍限度を超えて、強権的に取り組ませるということも含めて教育虐待と言われています。

 一般的に、教育熱心であることは悪いことではありませんので、教育熱心が行き過ぎて教育虐待になっていても、それが虐待であるとの認識がない保護者がほとんどです。教育虐待に陥りやすい親の特徴の一つとして、自身の(学歴や英会話についての)コンプレックスがあるケースもよく見られることの一つです。

 もちろん子どもの教育に無責任で良いわけではありません。保護者には子どもに教育を受けさせる義務があり、これは日本国憲法第26条第2項や教育基本法第4条でも明記されています。しかし「教育を受けさせる義務」とは過剰な負担を子どもに強要することではありません。子どもたちはまだまだ人間的に未熟であることは確かですが、その成長を見守り、自立した大人になる為のサポートをすることが大切です。


どもの人生は子どものもの


「子どもの人生は親の責任」

こうした考えが強すぎると親も子も精神的に疲弊してしまいます。そして、悪循環に陥ります。「子どもの人生は親の責任」というよりも先に、最優先に尊重すべき考えがあります。それは、

「子どもの人生は子どものもの」

 ということです。子どもたち一人ひとりを、立派な人格として尊重できてるかどうか、その上で、しっかりとコミュニケーションを取り、子どもの意見や希望に耳を傾けられているかどうかをチェックしてみることも必要です。

 親として子どもにどうあって欲しいか、どのような人生を送ってほしいか、送るべきか等を親から子への一方通行ではなく、子どもの気持ちや思いを考慮しながら一緒に考え、行動するのです。

 私はこれまで、親からの一方的な押し付けで、子供の可能性を潰してしまった事例を何回も見てきました。全て、子どもの希望を受け入れろ、と言ってるわけではありません。時には違う選択肢を促したり、子どもたちが自分の人生を良い形で歩めるようにサポートすることで、子どもたち自身が納得できる人生を歩む手助けをしてあげるのが、親の務めであるということを今一度心に刻んで頂きたいと思います。

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