弊社が、そろばんで海外進出をする時の課題について、そろばんや珠算(そろばんを使って計算すること)および珠算式暗算の内容については、これまで当コラムでも取り上げてきました。また、今後も取り上げていくと思いますが、今回は、中身がそろばんとは無関係なことについて、少しだけお話しておきたいと思います。つまり、FS(=フィージビリティスタディ/Feasibility Study)でも、しばしば直面する課題でもあり、どの業種でも課題に上がるであろうことです。
ただ、当たり前ですが、全てのことを列挙するのは不可能なので、弊社として印象に残ってることをいくつか挙げておきたいと思います。あまり表には出てこない生々しい話もあります。というか、生々しい話だからこそ、印象に残ってるということですが。
為替リスク
当然、これは全業種の課題となるところです。ただ、弊社では中東だったりアフリカだったりの事業もある為、円の、対ドルや対ユーロだけを見ていても十分ではありません。
2024年の春頃から円安が凄い勢いで進んだり、このコラムを書いている8月初旬には逆に円高に振れたりと、かなりの振れ幅になっています。とは言うものの、日本はなんだかんだ言っても外貨準備高が多くあるので、あまりに極端な場合は国が対策を取れます。
しかし、外貨準備高が少ない国は為替レートが暴走すると、どうにもならなくなるケースがあります。こうした国での事業を行う場合には、十分なリスクヘッジは必要です。
袖の下
賄賂ですね。普通にこれが横行している国はまだまだたくさんあります。弊社はやったことはありませんが、現地企業では当然のように「必要経費」として扱われてたりもします。現地に住む日本人が経営する企業でも賄賂を「活用」してる企業を見聞きしたこともありますし、ご丁寧に、ある勘定科目を使って経費にしてるのを見たこともあります。(どんな勘定科目を使ってるかも知ってますが、さすがにここでは書けません)
日本で、法定速度が30kmの原付バイクが45kmくらいで走ってても、そうしなくちゃ(車の)流れに乗れないし、みんなやってるから、違反は違反なんだけど、仕方ない、というのと同じ感覚なのかもしれません。
正直、賄賂を利用したら簡単に済むだろうなと思うことはたくさんありますし、外資企業でも、とある国はバンバンやってます。
見せ金
法人を設立する際、いわゆる「見せ金」を使うことが日常化している国もあります。そもそもダメなことなのですが、現地企業にとって慣例のようになっていることもあります。ただ、そうだとしても、これを外資企業(海外に行くと日本企業は外資企業です)が行うことはリスクが大きすぎます。100%独資で行く場合は、やらないとは思いますが、現地企業とのJVだったりすると十分に注意をした方が良いかなと思います。
以前のコラムでも書きましたが、弊社は、そろばんを学習している子供たちが、そろばんの先生になりたいと思ってくれた時に、そろばんの先生という仕事を仕事として成り立つようにしたい、との思いから始めたのが海外事業です。ですから、不正には足を踏み入れず、正々堂々と事業を行っていかなければなりません。
外務省のODA(政府開発援助)関連のプロジェクトや経産省のサポートを受けようと思うと、「法的に問題となるようなことはしない」という誓約をさせられます。
海外での事業を推し進めていく為には、これらのことも総合的に勘案する必要がある、ということですね。