その「わかりません」は本当に「わかりません」か?

 生徒が「わかりません」と言いました。

 「どこがわからないの?」

 普通はこう対応するでしょう。もちろん、当学院でもこう対応することが多いことは事実です。
しかし、全てこのような対応するかと言えば、それはNoです。

 例えば、以下のようなケース。

「わかる」と「できる」の狭間にいるケース

 この場合は、とりあえず何度か自分で考えて取り組むように指示します。間違ってても構わないし、その場で自分でできなくても構いません。自分なりに時間を使ってやることに意味があります。
 そして、その日、わからないままの場合は、一度寝かせておいて、次回のレッスンでも同じようにチャレンジしてもらいます。日を変えると「できる」というケースは実は結構多いのです。そうすると、自分でできたという自信がつきます。その自信の積み重ねが「わかる」から「できる」に変わる原動力にもなります。
 ※「わかる」と「できる」は違う! 参照

 もちろん、日を変えてもできない場合には、きちんと説明をしますが、当学院の先生は、その見極めを常に行っています。

間違えるのが嫌な生徒のケース

 初歩の生徒でたまに見られるケースです。先生が見て、答えが合ってて、「合ってるよ」と言わないと答えを書かない生徒。こういう生徒への声掛けは

 「間違えることは悪いことではないよ。間違えるから上手になるんだよ。だから間違っても良いから自分でやって自分で答えを書きなさい」

です。
 最近は間違いをするのはダメと思ってる子が(もしかしたら大人も?)多いように感じています。間違えるとダメな場面も当然あるでしょうが、そろばんの初歩レベルでは間違うことで「わかる」だけでなく「できる」ようになっていきます。

「できるはず」のケース

 生徒によっては、「わかりません」と言えば、先生が見てくれて、その問題は丸が付くので、少しわからないだけで「わかりません」という子がいます。これにいちいち対応していると、粘り強く取り組むという姿勢が弱くなってしまいます。
 こういう生徒には、「わからないはずはないから自分で頑張りなさい」と突き放すこともあります。

 上記の色々なケースとは逆のケースもあります。恥ずかしくて「わかりません」が言えない生徒に対してです。
 引っ込み思案の生徒に多いですが、「わかりません」というのを言えるようになるのも成長です。こういう生徒には
 「わからなかったら、わかりませんと言いなさい」
と声掛けします。

 できるはずの子に対するのとは真逆の声掛けですが、生徒の性格は一人一人バラバラです。よって、その子の性格や今、学習しているところの理解度、取り組んでいる問題のレベルや種類によって掛ける声が違います。

 全ての生徒に正解の教育はありません。大切な事は、一人一人をきちんと見て、適切な対応を行うことです。

 川西珠算学院では、そうした基本的なことも「脳力開発」の一環だと考えています。

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