珠算だけでは認知症予防に限定的な効果しか得られない理由は?

計算道具としてそろばんを使う為には

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では、珠算では認知症予防に対して限定的な効果しか得られないというのはどういった理由からなんでしょうか。また、「一定の条件に当てはまる場合には、認知症予防にも効果を発揮する」の一定の条件とはどういった条件なのでしょうか。

珠算というのはそろばんを使って早く正確に答えを出すということが目的です。計算道具としてそろばんを使う為には、いちいち考えながらそろばんを弾いているようでは話になりません。ですから考えなくても指が勝手に動き、加減乗除ができるように練習をします。そして、一旦できるようになれば、それほど考えるということをしません。自転車に乗るのも同じことでしょう。乗れるようになるまでの練習は頭で色々考えたりしますが、一旦乗れるようになれば、いちいち右ペダルを下までこいだら、今度は左に力を入れて・・・なんて考えません。考えなくても乗れるはずです。歩くのも同じですね。病気で身体が悪くなってリハビリをするなどの事情がある場合を除いては考えなくても歩けるはずです。そして、この「考えなくても」が曲者なのです。

考えなくても指が勝手に動き、そろばん操作ができるようになればなるほど脳への刺激は少なくなります。言い換えると珠算が上達すればするほど、脳への刺激が少なくなり脳の活性化という意味では効果が薄れていくのです。

  

認知症予防に効果を発揮する一定の条件とは?

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しかし、珠算は全く認知症予防の効果が無いかというと、そういう訳でもありません。一定の条件の下では、効果を発揮する部分もあります。では、どういった条件であれば認知症予防に効果があるのでしょうか。これはかなり専門的な話が多くなり、要素毎に背反するケースもあるので、ここではわかりやすい2つの条件をご紹介しておきましょう。

まず一つ目。そろばんの未経験者が足し算・引き算のやり方を一通り覚える辺りまでの学習がこの条件に該当します。この条件の下では、かなりの脳の活性化が期待できます。しかし、上達すれば上達するほど効果が薄れていくというのは既述の通りです。子供の場合は計算力をアップさせる為に珠算学習をするでしょうから、上達する必要がありますが、大人が認知症予防を目的とするならば徒に上達を追い求めるだけではダメだということですね。当社ノウハウでは「人工的に未学習の状況を作る」という方法論も持っていますが、何をやるかということ以上にどうやるか、ということも大切になってきます。

二つ目の条件ですが、熟練者であっても前頭葉のうち前頭前野という感情をコントロールする部分は、珠算である程度は活性化します。認知症には色々な症状がありますが、情緒のコントロールが難しくなるという症状が出る方も多いので、そういった意味では感情をコントロールする前頭前野の活性化は意味があります。しかし、この部分だけを取り上げて認知症予防に効果があるというのはあまりに乱暴な理屈になってしまいます。もっとトータルで脳を鍛えることが認知症予防には必要です。ちなみに、これが珠算ではなく、珠算式暗算ではまた違った部分(右脳の視覚野)を使うことになり、また話が違ってきます。

こういった部分を見ても、子供と同じように珠算学習をしていても認知症予防という観点では限定的な効果しか得られないということがわかります。

認知症予防と珠算学習に関して、ここでは2つの条件(事例)のみをご紹介しましたが、当社では他にも多くのことで脳の活動量の実験を行い、効果の有無を検証しています。こうしたものの中には一般的には効果があると思われていた珠算学習の要素が、意外と効果が薄かったり、逆にそれほど効果があると思っていなかった珠算学習の要素が、意外な効果を発揮したというものもあります。

いずれにしても、「そろばんをやると認知症予防に効果的」という漠然としたイメージで取り組むのではなく、何が効果があって何が効果が無いのかをきちんと理解し、しっかりとした理論の下で、取り組むことが大切です。本当に認知症予防に効果のある脳のトレーニングをしようと思えば、一つ一つきちんと検証を行い、積み上げていくしかありません。では、認知症予防の為の脳の活性化に必要な要素とは何でしょうか。次ページでは、このあたりをご説明します。

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