当学院の幼児教育メソッド

そろばんを使った幼児専門メソッド

当学院では、そろばんを使った幼児(未就学児)専門メソッドを持っています。

世界にはモンテッソーリ教育やレッジョ・エミリア教育などの幼児教育メソッドがありますが、そうした教育法を採用している幼児教育機関からも私どものノウハウに対する関心が多く寄せられます。

シンガポールなど海外の教育機関からのアプローチも多数あり、アライアンスやライセンス契約での当社メソッド提供の要望が寄せられています。

では、幼児向けは、小学生以上が学習する珠算と何が違うのでしょうか?

こうした教育学的な話の前に、まずは脳の発育スピードの話をしておかなければなりません。

幼児教育メソッド

脳の発育スピードについて

子供の脳の発育スピード

早熟型の脳と晩成型の脳

子供の脳の発育スピードにはかなりの個人差があります。特に、乳幼児から10歳くらいまでの個人差は極めて大きいのが実状です。

当学院では「早熟型の脳」「晩成型の脳」という表現をしています。

「早熟型の脳」の子に自分の年齢より上の学習をさせることは、それほど大きな問題になりません。(それでも度が過ぎると悪影響はあります)

しかし、逆に、「晩成型の脳」の子に「早熟型」の教育をするのは極めて危険です。

先取り教育の弊害

当学院は理数学習の礎である数の学習を専門にしています。ですから、子供一人一人の脳の発育状況を見極めながら、生徒の学習の進捗管理を行います。

しかし、世の中には、「晩成型の脳」の子なのに、先に先に学習を急ぐ「先取り教育」をさせてしまって、その結果、残念ながら、算数が嫌いになり、苦手意識を持ってしまう子がたくさんいます。

幼児期あるいは初等教育期に、理数学習が嫌になり、苦手意識がついてしまうと致命的です。一度身についてしまった苦手意識や嫌だという感情を払拭するのは至難の業だからです。

その後の受験では間違いなく理数科目で苦労するでしょうし、後の人生ほぼ全般において理数系の学習を避けて通ることにも繋がりかねません。

数の学習
晩成型の脳が劣っている訳ではない

晩成型の脳が劣っている訳ではない

ここで強調しておきたいのは「晩成型の脳」が劣っている訳ではないということです。

「晩成型の脳」の子供であっても、その子に合った学習を、その子に最適なスピードでさせてあげることで、少なくとも理数科目への嫌悪感などは発生せずにすみますし、じっくりと理数科目への学習に取り組む礎を身に付けることは可能だということです。

大切なことは、子供一人一人の脳の発育状況をきちんと見極め、学習の進捗管理を行うことなのです。

では、数の学習はどういったプロセスで進めるべきなのでしょうか。

数の学習の理想的なプロセス

言葉の学習

数の学習は基本的には言葉の学習と同じプロセスをたどらなくてはいけません。
まずはここで言葉の学習のプロセスの一つの例を挙げましょう。

「りんご」という言葉を学習していくプロセスを見ていきます。

当たり前ですが、乳児は「りんご」という言葉は知りませんし、それを表す文字、すなわち、「りんご(リンゴ・林檎)」も知りません。

乳児は五感、特に視覚、嗅覚、味覚、触覚を使って、まずは「りんご」という物体を知る(感じる)ところから学習が始まります。

「りんご」を見て形や色や知ります。
「りんご」を嗅いで匂いを知ります。
「りんご」を口の中に入れてみて味を知ります。
「りんご」を触って、大きさや重さなどを知ります。

「りんご」の特徴を現す「赤い」「丸い」「甘い」「すっぱい」「美味しい」「重い」などの言葉も、もちろん知りませんから、「りんご」という物を感じる事が言葉の学習のスタートになります。これがファーストステップです。

次に両親や祖父母、周りの大人が、

これは「りんご」って言うんだよー。
「りんご」、「りんご」、「りんご」、「りんご」、「りんご」

と、何度も何度も話しかけて、次第にりんごという「物体」とりんごという「音」がつながります。
これがセカンドステップです。

最後に、サードステップとして、りんご(あるいはリンゴ、林檎)という「文字」が、
りんごという「物体」あるいは「音」と結びつく学習をします。
これが言葉の最後の学習ステップです。

りんご
つみき

数の学習

数の学習も基本的には同じようなステップをたどらなくてはなりません。

基本的には、と書いたのは、厳密には言葉(単語)の学習とは若干違う部分があるからですが、専門的になりすぎるので、ここでは割愛します。

まずはつみきや、おはじき、ビー玉など色々なおもちゃ(具体物)を使って、1つよりも3つの方が「たくさん」、「重い」などを感じるところがスタートです。(ファーストステップ)

ポイントは「tangible objects(実物で触ることができるもの)=具体物」を使うことです。

次に○○は「に」、○○○は「さん」、○○○○○は「ご」というように、音と数を繋げます。(セカンドステップ)

最後に2、3、5などの「数字」を学習することで、数字と数(あるいは数を表す音)を繋げます。これが数の学習のサードステップです。

「数を認識する」ということと、「数字を認識する」ということは別物

大人になると忘れてしまうことですが、少なくとも乳幼児にとっては、「数を認識する」ということと、「数字を認識する」ということは全くの別物なのです。

子供達は最初は具体的なもの(コト)から学習をはじめます。そして、次第に抽象的なもの(コト)への理解が可能になっていきます。

そろばん教室の授業風景

具体的なもの(コト)の学習とは?

tangible objectsでの遊び(学習)

先ほどの項では、言葉や数を乳幼児が学習していくステップを細かく見ました。小さい子供にとっては、抽象的なこと(物)は最初は理解ができません。

よって、できるだけ積み木やビー玉などのtangibleなもの(触ることができる具体物、触って分かるもの)を使った学習が必要になります。

写真や絵は触ることはできませんが、直感的に脳にインプットされますので、こうしたアクティビティも有効です。

いずれにしても、具体的なことから徐々に学習する必要があるということですね。

ブロック
脳が混乱

数字は幼児には抽象的

ところが、ここで一つ落とし穴があります。大人が具体的だと思ってるものでも、子供にとっては抽象的でわからない(理解が難しい)ということがたくさんあります。

その一つが「数字」です。大人にとっては数字はとても具体的なものに感じます。数を明示的に表すことができますし、誰にとっても5は5で、100は100です。

しかし、子供にとっては、5というのは○○○○○と5つあるものを表した記号に過ぎません。

文字も同じですが、歴史上の先人が決めた記号でしかありません。生まれつき知ってるものでもなければ、何も学習せずに勝手に身につくものでもないのです。(もし、人間が何も学習せずに文字や数字を覚えられれば「識字率」なんて言葉は存在しないということになります)

tangible objectsでの遊びを通した学習量が足りないのに、そこを疎かにして文字や数字を教え込むと脳が混乱することになります。

数字や文字は(特別な場合を除いては)、義務教育期間の学習さえすれば、大人になれば誰だって読み書きはできるようになります。

ですから、少なくとも幼児(未就学児)の時期には、必要以上に慌てて文字や数字を教え込む必要はありません。

珠算教室に入会条件は必要か?

tangible objectsでの遊びを通した学習量が足りないのに、そこを疎かにして文字や数字を教え込むと脳が混乱することになります。

数字や文字は(特別な場合を除いては)、義務教育期間の学習さえすれば、大人になれば誰だって読み書きはできるようになります。

ですから、少なくとも幼児(未就学児)の時期には、必要以上に慌てて文字や数字を教え込む必要はありません。

「数字の読み書きができること」ということが入会条件の珠算教室がありますが、そうした教室は小学生以上を対象にした教室と考えた方が良いでしょう。

もちろん、「早熟型の脳」を持った子であれば、幼児(未就学児)であっても、家で数字を教えて、珠算教室に通わせるということも可能でしょう。しかし、全ての子供にとって可能かと問われれば、それは「NO」です。

当学院の幼児(未就学児)コースでは、数字の読み書きができなくてもかまいません。むしろ、無理に数字を教え込んで来ないで下さい、とお願いしています。

子供の脳の発育状況を無視した数の学習は「百害あって一利なし」だからです。

乳幼児にとっては数を認識することと数字を認識することは別物ですが、数はtangible objectsを伴うと幼児にとっても理解可能なものになります。

ただし、数字はあくまでも記号なのです。このことは、今一度、心に留めておかなければなりません。

そして、ここに教育学上(あるいは教育カリキュラム上)の、幼児教育と初等教育の違いがあります。

この部分をきちんと理解し、学習カリキュラムとして落とし込み、実践することが大切です。では、理数教育という意味において幼児教育と初等教育の境目はどこなのでしょうか。

そろばんを弾く子供のイラスト

幼児教育と初等教育の境目

コミュニケーションの4領域

子供にとっては、数を認識することと数字を認識することは別物、ということは何度も書いてる通りですが、実はこの違いが教育学上(カリキュラム上)、幼児教育と初等教育の境目でもあります。

次の図をご覧下さい。

話す・書く・聞く・読む



これはコミュニケーション(学習アクティビティ)の4領域のチャートです。左右で区切って見て下さい。左側が文字を使わないコミュニケーション(学習アクティビティ)、右側が文字を使ったコミュニケーション(学習アクティビティ)ですね。この左右の境目が幼児教育と初等教育の境目です。左側が幼児教育の領域、右側が初等教育の領域ということです。

公立の小学校に入学して一年生の一学期。小学一年生の時間割では、ほとんどの時間が算数か国語です。そして、国語の授業で一番最初に習うことが、ひらがなという文字で、算数では数を表す文字=数字です。

日本では幼児教育も盛んですから、一年生になる頃にはある程度の文字(数字)の読み書きができる子も多いのは事実ですが、就学前に具体物や音として認識してたものに文字(数字)を結びつけるというのが初等教育のスタートということになります。

「早熟型の脳」の子と「晩成型の脳」の子では、チャートの左領域の学習から右領域の学習へ移る最適期のタイミングに違いが出ます。

特に幼児教育の場では、どのタイミングで左領域から右領域に学習を移行させていくのが最適なのか、子供一人一人の脳の発育状況を見極め、学習の進捗管理をすることが必要となります。

そろばん教室講師のイラスト

そろばんは二五進法

さらに今度は、このチャートを上下に分けて見て下さい。上が出力(アウトプット)学習、下が入力(インプット)学習だということにお気づきでしょうか。

脳の発育状況に応じて、どれくらいの割合でインプット学習(あるいはアウトプット学習)をすべきなのかは、きちんと考慮しなければいけません。

また、インプットやアウトプットも、どういう形でさせるのが最適なのかをきちんと見極めなければなりません。これは、幼児教育期から初等教育期の子供にとっては極めて大切な要素となります。

このページでは、数と数字を結びつけるということについて詳述しましたが、小さい子供にとっては10以上の数の理解が難しい子がいます。

色々な理由があるのですが、1~9までは一つの数を一つの数字で表します。しかし10以上は、一つの数なのに2つ以上の数字で表記するということも理解を難しくしている要因の一つです。

そろばんを上手に活用すれば、この理解を助けることはできますが、幼児に対して、そろばんをどう活用すれば理解の助けになるのか、ということは意外と知られていません。

そろばんは十進法の学習に最適という言われ方をすることも多く、これもあながち間違いではないのですが、そろばんは二五進法という特徴があります。

当社は、この特徴を利用したオリジナルの幼児教育法を持っており、そろばんを使わずに二五進法を学ぶ当社のメソッドは海外でも活用されています。

幼児教育でやっておくべき理数教育、やってはいけない理数教育

そろばんは数字を知らないと学習できない?

ここまでをお読みになった方は、幼児教育では、数字などを詰め込んで覚えこませるのではなく、できるだけ具体物を使って学習するのが望ましいということはご理解いただけたのではないかと思います。

しかし、ここでこんな疑問が湧くかもしれません。

「そろばんは数字を使うんだから数字を知らないと学習できないじゃないか」

果たしてそうでしょうか?

ちょっと極論になりますが、そろばんは数字を知らなくても学習はできます。○○○が「さん」、○○○○○が「ご」というように、数を「さん」とか「ご」のように数を表す音と結びついてさえいれば、数字を知らなくても学習は可能だからです。

そろばんのイラスト
読上算をする子供

読上算とフラッシュ暗算

読上算というものをご存知でしょうか。「ご破算で願いましては~、△△△円なり、△△△円なり、△△△円では」という、アレです。

読上算の練習には、生徒側の頭の中には一切数字は出てきません。先生が読上げる数さえ認識できていれば、そろばん学習は可能なのです。インプットは「数字」ではなく読上げられた「数」だからです。

逆に、そういった意味では、フラッシュ暗算は、きちんとした学習の進捗管理(子供の脳の発育状況の把握)ができていない状況で闇雲に練習するのはリスキーです。フラッシュ暗算のインプットは「数字」だからです。

こうした、きちんとした理論、幼児教育の知識を基に、徒に文字(数字)を詰め込まず、具体物を使って行う学習こそが幼児教育でやっておくべきことなのです。

当学院の運営教室では、こうした理論をきちんと踏まえ、一人一人の脳の発育状況をきちんと把握した上で、カリキュラム作成や学習の進捗管理を行っております。

指折り数える計算と筆算

たまに、「うちの子は計算(筆算)が遅く、指折り数えないと計算ができないんです」と心配を抱える保護者の方がいますが、心配する必要はありません。

小学生でも一定の割合でそういう子はいます。「晩成型の脳」であるかもしれませんが、晩成型の脳に合った学習をすれば良いだけです。

むしろ、そういった子に、計算が遅いからといって、筆算のドリルをガンガン詰め込みでやらせると逆効果になってしまいます。

実は、幼児期にお勧めしない理数教育のうちの一つが、筆算をやり込むことです。

「早熟型の脳」の子供であれば、問題なくできるかもしれませんが、このあたりは「筆算とそろばんの計算メカニズムの違い」のページでも詳しく説明していますので、参考にして下さい。

公文式とそろばんのどちらを子供に習わせるか迷ってる方にも参考になることが書いてあります。

指折り数える

合わせてお読みください

基礎能力とは

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